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月刊コラム

2011年5月 食中毒菌の悲劇から学ぶこと

 焼肉店でユッケを食べた4人が食中毒で死亡、このほかにも大勢の方が入院する事件が発生しました。これまでの調べでは、ユッケの生肉に付着していた腸管出血性大腸菌O-111菌が原因と見られています。
腸管出血性大腸菌といえばO-157が知られていますが、O-111はそれよりも早く発見された腸管出血性大腸菌で、出血を伴う激しい腸炎や尿毒症を引き起こします。それが食材の生肉に付着していたのですから、非常に深刻です。

 腸管出血性大腸菌は、昭和57年にアメリカオレゴン州とミシガン州でハンバーガーによる集団食中毒があり、患者の糞便からO-157が原因菌として見つかったことから、一躍クローズアップされました。命にもかかわることから、そのころから国内でも注目され、千葉県立こども病院に入院した児童が医師団の懸命の治療にもかかわらず死亡した事例もありました。

 今回の集団食中毒の問題は、生食用食肉の衛生基準に適合していなかった肉を提供したことにあります。これは生食の牛レバーによるO-157の発生を受けて1988年に定められた基準ですが、なんとこの基準に当てはまる生肉は、国内では2008年から2009年には一切出荷されていなかったと言います。つまり、我々は加熱用の肉をずっと生で提供されていたことになります。

 しかしながら、加熱用の肉を生で提供しても、現状なんら罰則がありません。本場、韓国のユッケ専門店では、当局の抜き打ち検査がしばしばあり、細菌検査などに合格しなければ営業停止の処分があるなど、我が国との対応の差は歴然です。国内でも、少なくとも生の肉を出す店については実際に臨検し、店の衛生状態のほかに、食材の取り扱いや調理の方法が安全基準に適合しているのかを調べ、証明書を出すなりして消費者に知らせるべきです。

 農薬入り中国産餃子の一件以来特に、「食の安全」がずいぶん言われてきました。農産物や加工食品などの食品が、どこから来て、どこへ行ったかを把握できるトレーサビリティーの普及も大切です。そうなれば、和牛と称して経産牛や乳用廃用牛が流通することもなくなっていくでしょう。

 これから夏にかけて食中毒が多発するシーズンです。生で食材を出す店の安全性が消費者に一目で分かるようにしないと、「この刺身は加熱殺菌してありますか」と尋ねた外国人を笑えなくなります。手間やコストがかかるからと、せっかく定めた安全基準を骨抜きにしてしまう様な事があってはなりません。私たち消費者も、徹底した安全管理と情報公開を求めていく必要があります。

 

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