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月刊コラム

20121年10月 曲がり角の生活保護制度

 生活保護のあり方が問題になっています。生活保護受給者の急増で支給総額が膨大な額に上り、国や地方自治体の財政を圧迫しています。生活保護頼みの若者も増え、それらの若者の間には「働いたら負け」という風潮が広がるなど国民の勤労意欲を様変わりさせています。本来、生活困窮者の最後のセーフティーネットである生活保護は、国を食いつぶしかねない制度とも言われるようになっているのです。

 生活保護受給者は2012年5月に211万人を超え、過去最多になりました。これに伴って同年度の生活保護費総額は3兆7000億円にまで達する見込みです。政令都市と東京23区で見ると、生活保護費が予算の10%を超えました。17人に1人が生活保護受給者である大阪市では予算の約18%を生活保護費に充てています。

 リーマンショック以降の不景気で、働こうにも職がない人や働けない高齢者の増加が生活保護受給者増の主な原因ですが、働く気がない若者の受給者が増えているのも見過ごせません。これらの若者は生活保護を「ナマボ」と隠語で呼び、どうしたら申請が通りやすくなるのか、ネットで情報をやり取りしているのです。

 働く能力があるのに生活保護に頼る人が増えてきた背景には、最低賃金に近い給料で働く人との実質収入の逆転があります。生活保護受給者には住宅費や医療費の扶助もあります。働くより生活保護を受給したほうが良いというわけです。さらに、生活保護はこれら若者の国民年金の保険料支払い状況にも影を落としています。将来、国民年金を受給するより、生活保護費のほうがたくさんもらえるというわけです。

 今でさえ膨大な額に上っている生活保護費ですが、さほど遠くない将来に必要な予算は20兆円にもなるとの試算もあります。非正規雇用者、いわゆるフリーターの存在です。彼らが50歳を超え、次第に働く場がなくなったときに、かなりの数の人が生活保護受給者になるのではと予測されているからです。

 生活保護経費が地方自治体の財政を困窮させるほど膨れ上がった一因について、自民党生活保護プロジェクトチームの世耕弘成参院議員は、「バラまき」政策の民主党政権下で厚労省が「窓口に来た人は、できるだけ早く認めよ」と通達を出し、タガが外れたと分析しています。その結果、十分に働くことができる人まで安易に生活保護を申請、果ては公園などで集めたホームレスの人達を簡易宿舎に住まわせ、支給される生活保護費の大半をピンはねする生活保護ビジネスまで出現しました。

 どこの自治体でも、急増する生活保護費に悲鳴を上げています。このままでは生活保護制度そのものが瓦解する恐れもあります。では、憲法に明記された生存権を保障するための生活保護制度を守るためにはどうしたらいいのでしょうか。

 そもそも生活保護制度は健康で文化的な最低限の生活を保障するものなのです。つまり、生活のピンチを乗り切るための制度なのです。働けるようになるまで一時的に収入を確保するという本来の制度へ引き戻すために、自民党は「自助」を強調した生活保護改革案をまとめました。年金とのバランスを図るために生活保護給付水準を10%引き下げ、過剰診療などの防止で医療費扶助を大幅に抑制、さらに現在の現金給付から現物給付などを掲げています。加えて働ける層の自立促進のために、これらの人々を対象に生活保護期間の有期制も盛り込みました。

 生活保護制度が目指すのは就労による社会復帰であり、公的機関による就労支援の充実が今以上に必要です。そのためには受給者が多すぎて、福祉事務所のケースワーカーによる一人ひとりへの支援が十分に行えない現状を改善しなければなりません。ケースワーカー業務の民間委託も考えるべきです。速やかに有効な手を打ち、社会復帰というゴールへ導く生活保護制度を守らなければなりません。

 

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