千葉県議会議員 林もとひと オフィシャルサイト

月刊コラム

2012年11月 再生可能エネルギー発電の技術開発を

 東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故以来、発電のためのエネルギーをどこに求めていくかが、日本の重要なテーマになっています。

 かつて、原子力発電は日本の発電量の約30%を占めていました。それが、福島第一原発の事故以来、定期点検などで次々と運転をストップし、今年5月には国内すべての原子力発電所が運転を停止しました。現在、国内で稼動している原発は、福井県の関西電力大飯原発だけです。

 今年の猛暑では電力不足が心配されましたが、結果として大規模停電という事態は起きていないというのが、原発の即時廃止を求める人たちの論拠のひとつです。さらに、これらの人々はコストの面からも原発優位性に疑問を投げかけています。

 1999年に資源エネルギー庁が公表した1kwhあたりの発電コストは原子力5.9円、LNG火力6.4円、水力13.6円などでした。2011年に内閣府の原子力安全委員会は、原発による発電コストは最大7.6円としています。これに対し、これらの原子力発電の試算には電源三法による地元への交付金、原子炉廃炉解体費用などが含まれていないなどとして、エネルギー政策が専門の学者は原子力10.68円、火力9.90円、水力3.98円という試算を発表しています。原発立地にかかわる費用や使用済み燃料の処分費用などを考えれば、原子力発電は火力発電よりコスト高になるという主張です。

 かといって、これまで火力、水力とともに日本の発電を担ってきた原子力発電をすぐさま廃止せよという意見はあまりにも性急すぎます。各電力会社は老朽化して運転を停止していた火力発電施設を稼動するなどして、原発停止で足りなくなった電気を確保しているのが現状だからです。

 老朽化した火力発電所施設がいつストップするか分かりません。発電所が一か所でも突然に運転停止すれば、大規模停電を引き起こす恐れがあります。2003年8月のニューヨーク大停電では途中で止まったエレベーターに人々が閉じ込められ、通勤者は帰宅の足を奪われるなど市民生活が大混乱し、経済損失は60億ドルにも上りました。北海道では冬季の大規模停電は人命にかかわると、経団連の米倉広昌会長が北海道電力泊原発の再稼動を政府に強く求めました。

 原発の性急な廃止によって、電力不足、突然の大規模停電の危険を招くことは避けねばなりません。段階的な原発の縮減、これが最も現実的な道筋ではないでしょか。

 その間に、原子力に変わる電力を生み出すエネルギーとして太陽光や風力、地熱、波力などの再生可能エネルギーの導入を加速させるべきです。2011年に環境省が発表したデータによると、住宅の屋根を加えた太陽光発電のポテンシャルはおよそ2億kw、風力発電は陸上で2億8千kw、洋上で16億kwの可能性を秘めているとされています。

 7月から全量買取制度がスタートし、産業用太陽光発電施設新設の追い風になっています。千葉県でも県の新エネルギー活用推進プロジェクトチームによって重点支援プロジェクトに指定された大規模太陽光(メガソーラー)発電所が10月、市原市に開所しました。

 ただ、再生可能エネルギーによる発電も問題がないわけではありません。ひとつは新たな公害の発生です。風力発電では低周波や風切り音を発生し、林立する発電風車は景観を損ないます。地熱発電では周辺の温泉施設への影響が無視できません。

 もうひとつはコストの問題です。原発1基分の100万kwの電力を太陽光発電で生み出そうとすれば、山手線の内側いっぱいに太陽光パネルを敷き詰めなければならないとされ、電力会社による買い取り価格は1kwhあたり42円と、そこで生み出される電力も高価です。

 再生可能エネルギーを発電の柱にするにはこの2点の問題をクリアしなければなりません。アメリカでは集中太陽熱発電施設が建設され、コスト面でも成果を上げています。来るべき原発廃止に備えるために、わが国でも再生可能エネルギー発電の画期的な技術が開発されることを期待したいと思います。

 

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