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月刊コラム

2014年10月 エボラ出血熱

 死率70%といわれるエボラ出血熱が西アフリカで猛威を振るっています。感染者は1万人を越え、未だに収束の見通しが立っていません。WHOをはじめとする国際機関や、医療組織が治療と感染地域拡大の阻止に全力をあげていますが、アメリカで二次感染者が発生するなど、事態はパンデミック(世界的大流行)の危機もはらんでいます。

 アメリカでリベリアからの入国者が発症し死亡、看護師2人が二次感染した出来事はエボラ出血熱の拡散を阻止しようと努力してきた各国の防疫、医療関係者を震撼させました。アメリカがパンデミックを阻止するための最大の砦とされていたからです。幸い、潜伏期間の3週間が経ってもこれ以上の二次感染者、三次感染者が出ないようで、最悪の事態は避けられましたが、ワールドワイドの時代にあって、いかに感染症の封じ込めが難しいかを改めて感じさせました。

 感染症のパンデミックといえば、真っ先に1918年から翌年にかけて流行したスペインかぜが挙げられます。感染者6億人、死者は4000~5000万人といわれています。この感染症のために参戦国が疲弊し、第一次世界大戦の終戦を早めたとされています。

 第一世界大戦の時代でさえ、ウイルスがあっという間に世界中に蔓延しました。まして、さまざまな交通機関が発達した現代では、感染症の封じ込めには大掛かりで堅固な態勢をもって臨まなくてはなりません。

 日本も例外ではありません。水際で阻止するために成田空港をはじめとする国際空港では、サーモグラフィーを設置し高熱の入国者を発見する態勢をとるなど、防疫体制を強めていましたが、さらに対応を強化するため、流行地の西アフリカ3か国のいずれかに滞在し、日本に入国した全ての人について、健康状況の報告を義務づけることになりました。入国から21日間、体温や体調に異常がないかを1日2回、検疫所に電話で報告することを義務づけるということです。報告を怠ったり、虚偽の報告をした場合、検疫法に基づいて罰せられるそうです。

 問題は、それでも国内で発症者が出た場合です。高度な医療体制を持つアメリカでさえ、国内感染者が発生しました。我が国でも感染者が出ないという保障はありません。あらかじめ用意されているマニュアルに沿って迅速に、きちんと事態に対応し、感染が広がるのを防いで、住民がパニックに陥るのを防ぐのが第一です。

 1976年にスーダン南部で発症したのが、エボラ出血熱が認識された最初です。以後、治療法がないアフリカの風土病として知られてきましたが、それほどの大流行は起きませんでした。それでは今回、なぜ西アフリカで猛威をふるっているのでしょうか。原因として急ピッチで進む開発が考えられています。これまで人間がめったに足を踏み入れることがなかった奥地まで開発が進んだ結果、エボラ出血熱に感染したサルやウイルスの宿主とされるコウモリと人間が接触する機会が増えたことや、これらの地域で人間の行き来が盛んになったことが原因とされています。だとすると、西アフリカにとどまらず、今後アフリカ各地でエボラ出血熱の患者が次々と発生する可能性があります。

 それでも、私は人類の英知を信じています。紀元前から流行していた天然痘、ヨーロッパで黒死病と呼ばれたペスト、結核、マラリアなど、人間は昔から様々な感染症と戦ってきました。最近ではエイズ、鳥インフルエンザ、SARSの押さえ込みに全力を挙げています。決して楽観はできませんが、エボラ出血熱に対しても有効な治療法が必ず見つかると確信しています。

 

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