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月刊コラム

2015年3月 成田空港ノンストップゲート化

 成田空港の検問が廃止され、利用客は検問で止まることなくノンストップで空港内に行けるようになりました。

 テロや過激派対策のため、鉄道や自動車でやって来る空港利用者や従業員を対象に、1978年の開港以来行われてきた検問でしたが、搭乗手続きを急ぐ利用客にとって身分証の提示やトランク内検査はわずらわしいものでした。成田国際空港会社(NAA)は検問廃止ではなく、ノンストップゲート化と呼んでいるのですが、今回の改善を親しまれる空港づくりへのステップとして歓迎したいと思います。

 過激派による管制塔占拠などの事件を踏まえ、国内の空港では唯一行われてきた検問ですが、利用者に心理的な負担をかけ、激化する国際的な空港間競争に勝ち抜くための支障にもなっていたことから、2013年9月にNAAの夏目誠社長が廃止を発表していました。ただ、検問を廃止してもそれとひきかえに安全が損なわれるようなことは絶対に避けなければなりません。テロを警戒する県警は廃止の条件として「警備レベルの維持・向上」をNAAに要望していました。

 そこで導入されたのが顔認証機能付きの監視カメラや車のナンバーを記憶するシステム、爆発物探知犬などです。顔認証機能付きの監視カメラは13年3月から2カ月間、第2旅客ターミナルビル駅で爆発物探知装置付きゲートとともに実証実験が行われました。その結果、効果があるとして190台の顔認証監視カメラが配置されました。このほか、自動車のナンバープレートを読み取ることができるカメラ140台が駐車場などに備え付けられたということです。

 過去に、空港はしばしばテロリストによって狙われてきました。1985年12月にイタリアのローマ国際空港とオーストリアのウイーン国際空港で手榴弾を爆発させるなどの同時テロ事件が発生、1972年5月にはイスラエルのテルアビブ空港で日本赤軍メンバーによる乱射事件がありました。2011年1月、ロシアのドモジェドヴォ空港の自爆テロによって35人が死亡、180人が負傷しました。

 成田空港でも1985年6月に手荷物サービスセンターで到着便から降ろされた貨物が爆発する事件がありました。その後の調べで、航空機の爆破を狙ったインドの反政府テロリストによる犯行と判明しました。

 成田空港がこのようなテロの舞台とならないよう、3月20日にNAAや県警などから約110人が参加してテロ対策訓練が行われました。爆破テロを計画した男がトラックで空港内に入ったとの想定で行われた訓練では、導入された顔認証機能付きの監視カメラが期待通りの性能を発揮し、逃走した犯人の行方探索に活躍したということです。

 成田空港の検問廃止、ノンストップゲート化は森田知事を中心にしたグレード・アップ「ナリタ」活用戦略会議の提言がきっかけでした。その後、地元成田市の経済界も検問廃止を要望、NAAはこれらの声に応え、ノンストップゲート化を発表していました。

 ノンストップゲート化で、検問による利用客の心理的な負担が払拭され、気軽に成田空港を利用してもらえるようになりました。空港見学客や食事の利用、ショッピング客の増加も期待されます。2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控え、NAAは検問に替わる新警備システムの運用によって安全な空港の評価を保ちながら、一層のにぎわい創出に努めていただきたいと思います。

 

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