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月刊コラム

2015年12月 救急車利用の適正化を

 今年9月と10月の2カ月間に県内で救急搬送された患者のうち、約半数が入院の必要がない「軽症」だったことが県の調査で分かりました。一刻も早く治療をしなければならない患者の命を救うために無くてはならない救急搬送システムですが、以前から言われている問題点が再び浮き彫りになりました。

 調査は県内の病院や消防本部など約220カ所を対象に、9、10月の2カ月間行われました。この期間の救急搬送件数は4万4042件で、2年前の2013年の調査より約2200件増えました。搬送件数のうち重症だったのが全体の約7%の約3000件、中等症が約42%の約1万8000件で、搬送患者のおよそ半分が軽症患者でした。ちなみに、軽症患者が50%を超えたのは君津、千葉、市原だったそうです。

 わが党の佐野彰県議の12月定例県議会での質問に、県の保険医療担当部長が答えました。119番から病院に患者が搬送されるまでの時間は、県内平均43・6分で、2013年度の調査より1分伸びました。全国平均は39・3分ですから、千葉県は4分以上長くかかっているということになります。救急搬送件数の増加は全国的な傾向で、2014年の消防白書によると、13年の出動件数は過去最高の590万9367件と、10年前に比べて22・3%も増加しています。119番通報から現場に到着する時間もこの10年で約35%も遅くなっています。

 救急搬送患者のおよそ半数が軽症患者だったということで、救急車の利用方法について一層、議論が高まりそうです。実際、救急車の乱用が目立っています。救急車をタクシー代わりに利用するという事例は以前から言われていましたが、消防庁によると「蚊に刺されてかゆい」「紙で指先を切った。血は止まっているのだが…」「病院で長く待つのが面倒なので、救急車を呼んだ」などのケースもあったそうです。

次々と寄せられる救急依頼で、午前中に出た救急車が消防署に帰ったのは深夜だったという事も少なくないようです。このような状況を放置していれば、本当に緊急を必要としている患者の対応が遅れる懸念も増加していきます。目の前の消防署の救急車が出動中で、他の消防署からの到着が遅れ、さらに受け入れ病院の決定に手間取って、結局、脳内出血で死亡してしまったというケースも過去にありました。

 このため、救急車利用の有料化が議論されています。2015年5月に開催された財政制度等審議会で財務省が示した案の中で、「軽症の場合の有料化などを検討すべきではないか」と明記されました。有料化によって先ほど例に挙げた「タクシー代わり利用」を思いとどまらせることと、年間2兆円にものぼる消防関連の経費削減につなげたいとの思惑です。フランスのパリ近郊で医療機関が組織する団体に救急搬送を依頼すると、30分で約3万4000円かかるといいます。米国のニューヨークでは、消防の救急車を利用すると約5万円請求されるそうです。これらのことからも、日本でも軽症患者の搬送は、料金制にしようという議論がでているのです。

 しかし、救急車利用の有料化に対して懸念の声があるのも事実です。もっとも心配されるのが、自分で軽症と判断し救急車を呼ばず、結局は重症で手遅れになってしまうというリスクです。そうなっては、何のための救急搬送システムだということになります。細々と暮らしている一人暮らしの足腰の弱い高齢者にも料金を請求するのかという疑問も生じます。

 県議会で答弁に立った古元部長は「救急医療は限られた資源」と述べました。有料化などの事態を招かないように、この資源を大切に使い、明らかに不要不急の場合は救急車を呼ぶことを控えるなど、社会全体の自覚が必要となっています。

 

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