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月刊コラム

2016年5月 燃費データ不正

 三菱自動車の燃費データ不正が世情を騒がせています。三菱自動車といえばかつて、エンジンなどの不具合のクレームを運輸省に報告せずに隠蔽し、ブレーキの欠陥で同社のSUV車が前方の車に追突して人身事故が発生した過去があります。失墜した会社イメージがようやく回復した折の今回の燃費偽装問題。一時は同社の存続さえ、噂されるようになりました。

 開発中の新型車の燃費を、競争相手メーカーの車より0.1キロでも上回ろうと、同社では国土交通省に不正なデータを提出しました。タイヤの転がり抵抗などを屋外のテストコースで計測するべきなのに、机上で計算したデータを提出したということです。このような方法で燃費が偽装された同社の車は27車種、計200万台以上にも及ぶ可能性があるということです。

 同社の会見によりますと、一連のデータ計測作業は子会社に丸投げされ、本社幹部からプレッシャーをかけられ続けた結果、担当者が不正に手を染めたとのことです。同社では、ユーザーらに補償をする考えですが、証券会社の試算によりますと、1台当たりのガソリン代の補償が4.8万円~9.6万円、返還を求められる可能性があるエコカー指定の減税分が1台当たり1~2万円、提携先の日産自動車への補償が400~500億円で、最大で総計1500億円に達する可能性があるとされています。しかもこの金額は当初発表された4車種のみの試算であって、対象車種が増えれば、補償金額も増額することになります。

 三菱自動車だけにとどまらず、スズキも燃費の測定に不正があったと発表しました。海風の影響を受けるテストコースで走行抵抗値を計測せず、タイヤやブレーキなど部品ごとの抵抗値を屋内で計測したということです。

 相次いで露見した燃費にかかわるデータ不正。背景にはメーカー同士の熾烈な販売競争があります。他社より0.1キロでも優れた燃費をPRして販売に結び付けたいという気持ちが不正に走らせたのでしょう。

 しかしながら、メーカーが発表する燃費を頭から信じているユーザーは皆無です。それほど、メーカー発表の燃費と実燃費は乖離しているのです。自動車ユーザーを対象にしたアンケート調査によりますと、実燃費はメーカーが発表したカタログ燃費のせいぜい50%という回答が最も多かったそうです。カタログ燃費の60%が出ればかなり優秀ということです。

 なぜ、このような乖離が生じるのでしょうか。一つにはローラーに乗せて車を動かす実態にほど遠い燃費測定方法にあります。また、メーカーによる各種走行試験では完璧に整備されたテストカーを、優れた腕前を持つテストドライバーが慎重に走行試験をするためです。しかし実際には荷物をたくさん積んだり、急加速も、急ブレーキもあるでしょう。カタログ燃費より大きく落ちるのは当然です。しかも、かつては燃費テストのための特別な車が用意されたこともあるということです。何やらVW社の排ガス不正を思い起こさせます。

 そもそも、実燃費の倍近い燃費を声高々にPRするのはいくら何でもやりすぎです。これに対して、アメリカでは実際にカタログ燃費が出ないと訴えられてしまうこともあって、欧米の車は全般に実燃費に近いカタログ燃費をうたっています。どちらが購買に当たっての指標となるかは言わずもがなです。

今回の事件を受け国交省は、メーカーがデータを算出する際に、実施するデータ測定試験の実績値の提出を求めるなど、改善策の検討に着手しました。ただ、それだけでは単なる不正防止策です。ユーザーが求めているのは、実燃費に近い燃費カタログデータです。これを機に、実態に即した制度に変更する必要があるのではないでしょうか。

 

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