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月刊コラム

2016年7月 EU離脱を決めたイギリスの国民投票

 6月に行われたイギリスの国民投票で、EUからの離脱票が残留票を上回り、世界情勢や経済に大きな影響を与えました。日本経済への影響も少なくありません。今月のコラムでは、改めてイギリスがEU離脱へ向かうようになった経緯や背景を振り返り、今後、EUはどう歩んでいくのか展望したいと思います。

 イギリス国内でEUからの離脱を求める声が大きくなった背景は移民問題と言われています。社会保障が手厚いイギリスは、移民を望む人々にとってパラダイスのように映ったことでしょう。EU加盟国同士は人の自由往来が保証されています。かくして東欧を中心にした国々から大勢の人がイギリスを目指しました。

異国の地で生きるために懸命に働く移民の人々は労働力として非常に優秀なため、雇用の際に英国人よりも移民を選ぶ経営者が増えてきていて、英国の労働者の間に「移民に職場を奪われている」という不満が高まっていました。この不平不満がEU離脱を決めた原動力だと言われています。

 投票では都市で残留票が上回ったのに対して、地方では離脱票が残留票を上回りました。地方に暮らす人々がより一層、「移民に職場を奪われている」との不満を抱いているということになるのですが、実際には移民は都市部にとどまり、地方では少数でした。イギリスでは経済が好調な都市部に対し、地方経済は疲弊していると言われています。離脱派の扇動もあって、地方経済の疲弊による不満のはけ口を移民問題に向けたのではないかと分析されています。

さて、イギリスが離脱したEUはどうなるのでしょうか。イギリスと同じ移民問題を抱えるEU加盟の国々でも、離脱論が頭をもたげています。さらに気がかりなのはロシアの動静です。ロシアの欧州進出の試みはEUの壁で跳ね返されてきましたが、一致団結の絆がほころべば、ロシアの欧州進出を許すことにもなりかねません。さらに、イギリスに付く国、EUをリードするドイツに付く国と色分けが進み、欧州が二分される危険もはらんでいます。世界中が世界情勢・経済に与える影響をかたずを飲んで見守っています。

 これだけのインパクトを与えた今回の一件。「イギリスはECに残るだろう」という大方の予想を裏切って、離脱票が多数を占めた原因の一つに国民投票による採択が上げられています。このような大規模な投票では往々にして情緒で結果が左右されることがあります。離脱によるイギリス経済への影響を論理的に考えず、「移民が我々の職場を奪っている」「我々の税金が移民のために使われるのは嫌だ」あるいは、「世界大戦で戦勝国のイギリスが、敗戦国のドイツの言いなりになっているのは我慢できない」などの感情的な理由で離脱票を投じた人々に突き付けられたのは、ポンド為替相場の暴落、16兆円に上るイギリス経済の損失、95万人の雇用喪失予想、北アイルランドやスコットランドの独立機運などの過酷な現実でした。離脱票を入れたのを悔いる人々の間から、再投票を望む声も出ています。

 しかしそれは認められません。結果が気に入らないからといって投票をやり直していたのでは、いつまでたっても結論がでませんし、有権者も自分が投じる一票に責任を感じなくなってしまいます。たとえ僅差であっても、国民投票によって出された結論は「国民の選択」です。反対の立場にあった人もその決定に従い協力しなければなりません。国民投票というのはそれだけ重いものであり、決して一時の感情や思惑で投票してはならないのです。
 
 日本では憲法改正をめぐる議論が高まりを見せています。混迷を深めるイギリスの轍を踏まないためにも、国民一人ひとりの深い理解が求められています。

 

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