千葉県議会議員 林もとひと オフィシャルサイト

月刊コラム

2017年5月 憲法改正を真摯に議論しよう

 憲法改正論議が熱を帯びてきました。国民すべてが我が国の憲法を考え、未来を担う子どもたちに誇れる憲法のために、真正面からの議論を歓迎します。

 ご存知のように現行憲法は敗戦後、GHQの指導で作られました。戦争を放棄し、軍隊を持つことを禁じた世界にも例が無い憲法として、現在に至るまで法治国家日本の根幹に据えられてきました。施行以来70年。世界の成文憲法を持つ国々のうち、日本国憲法は14番目に古く、加えてこの間、一度も改正されたことがない憲法としては世界最古なのです。

 70年もの間、手が加えられることがなかったことは、決して賛美されることではありません。刻々と時代は変化しています。世界も、社会も、人々の価値観も変わりました。他国では社会の変化に対応し、その都度、憲法を時代に合うように改正しています。それなのに、日本だけが70年も前に施行された憲法を、時代に見合った改正をせずに国の根幹としておいていいのでしょうか。

 我が自由民主党は1955年の立党にあたって、「党の使命」として現行憲法の自主的改正を謳っています。時代に即した憲法改正を党是とする自民党は2012年4月に国旗・国歌の規定、自衛権の明記、国防軍の保持、家族の尊重、環境保全の責務、財政健全化の確保、緊急事態の宣言の新設、国及び地方自治体の協力関係、憲法改正提案要件の緩和などを主な改正点とした憲法改正草案を発表しました。

 憲法改正にあたっての最大の焦点は第9条の取り扱いです。アメリカで最大の発行部数を誇る有力紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」は「日本の憲法の賭け」と題する社説で、戦争の放棄を定めた日本国憲法第9条は、戦後の日本軍国主義の復活を懸念するダグラス・マッカサー司令官らの思惑の産物だったと述べています。軍国主義復活の芽を摘むために、占領軍の幕僚たちは戦争を放棄し、軍隊の保有や「武力による威嚇または武力の行使」を禁じた第9条を新憲法に盛り込んだと指摘しました。この主張によれば、憲法第9条は、恒久の世界平和を純粋に願って盛り込まれたというわけではないのです。

 そして第9条の最大の懸案が自衛隊との兼ね合いです。戦力の不保持を定めた第9条に照らして、自衛隊は違憲という議論が憲法学者らの間にあります。ただ、考えてみてください。大災害での救助活動に我々が最も頼りにするのは自衛隊です。日本をめぐる国際情勢がきな臭くなっています。北朝鮮のミサイルを打ち落とし、日本海を越えて攻め込んでくるかもしれない北朝鮮軍に立ち向かうのは自衛隊です。多くの国民が自衛隊の存在を事実上、受け入れているのです。

 安倍首相は5月3日、憲法改正を求める集会にビデオメッセージを寄せ、「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と表明するとともに、「第9条の改正項目として1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込むという考え方は国民的な議論に値する」と述べました。第9条1項の戦争放棄と2項の戦力不保持はそのまま残して、新たに自衛隊の存在を明記する3項を付け加えるという思い切った提案は、安倍首相の憲法改正にかける並々ならぬ決意の表れです。

 このビデオメッセージのほか、自民党総裁としてと念を押して新聞紙上で改憲の推進を訴えましたが、野党や一部メディアは「総理」として強引に改憲を進めようとミスリードしているのが残念です。それでも、ここまで議論の可能性が高まったのは安倍首相の大いなる実績だと思います。私たちはこれらの提案に対し、真摯に向き合って大いに議論を交わすべきです。

 

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