千葉県議会議員 林もとひと オフィシャルサイト

月刊コラム

2010年8月 ストップ・ザ・児童虐待

 大阪市で痛ましい児童虐待死事件が起きました。23歳の母親が育児を放棄し、幼児2人をマンションに置き去りにして餓死させました。食べ物を捜し求めたのか、何も入っていない冷蔵庫には、小さな手のあとが無数に残っていたそうです。

 一般的に、子どもに肉体的、精神的及び性的な暴行を加えるのが児童虐待とされています。わが子の養育を放棄するネグレクトもそうで、大阪市の事件はまったく、無責任極まる母親による残酷な児童虐待なのです。

 健やかに成長する権利を持っている幼児、児童へのあってはならない虐待が近年、急ピッチで増加しています。全国201カ所の児童相談所が、平成21年度中に受け付けた相談件数は44,210件にも上りました。前年度より約1,500件上回り、19年連続の増加です。10年前の平成11年度と比べると、およそ4倍にもなっています。

 事態の深刻化に伴って、平成12年には児童虐待の防止に関する法律が制定されましたが、増加に歯止めがかかりません。もちろん、児童虐待への世間の認識が高まり、相談件数が伸びたことも考えられますが、虐待そのものが増えてきているのも事実です。

 頻繁に報道される児童虐待のニュースを、対岸の火事と決め込んでいてはいけません。平成21年度で最も相談が多かったのは東京都の3,339件で、次いで大阪府が続き、わが千葉県は2,295件で、なんと全国3位なのです。

 なぜ児童虐待が行なわれるのでしょうか。そして、それを防止する有効な手立てはないのでしょうか。幼児、児童を虐待から守るために、我々一人ひとりが真剣に考えるべき事柄です。

 児童虐待の背景や要因は様々ですが、共通しているのは、親に虐待を行なっている意識がないことです。「しつけ」の名のもとに、自身のイライラを子どもにぶつけ、過度の体罰を加えて心に深い傷を与えてしまうケースが目立ちます。

 本人に虐待の意識が希薄なのですから、周囲の人がこれに気づき、やめさせなければなりません。児童虐待防止法には、子どもが虐待にあっているのを知ったとき、児童相談所などに通告する義務があるとされています。「体に殴られたあとのような、あざや切り傷をつけた子どもがいる」「子どもが冬に、長時間外に出されている」「親の怒鳴り声と、子どもの泣き声がいつも聞こえる」など、不審に思ったら、速やかな連絡をと呼びかけられています。

 ところが、往々にして児童相談所や学校に、近隣の住民から通報があっても事実の把握が遅れ、手遅れになるケースがあります。大阪市の育児放棄死事件でも隣人らから「大阪市こども相談センター」に何回も通報がありながら、結局、幼い2人の命を救えませんでした。

 関係機関が協力し合い、児童虐待を防ごうという体制整備が行なわれています。全国の市町村で「子どもを守る地域ネットワーク」の設置が着々と進められ、わが成田市でも今年3月、ネットワークが発足しました。児童相談所をはじめ、市や県の関連部署、教育委員会、警察、消防、医師団、学園、人権擁護委員など、多くの機関や団体、法人が手を携え、児童虐待撲滅へ向けて活動を始めました。

 住民による児童虐待監視の輪をより有効にするためにも、このネットワークの趣旨が十二分に生かされることを期待してやみません。

 

千葉県議会 インターネット中継

最新県議会リポート

成田のシティ情報ポータルサイト

TOP政策・提言プロフィール県議会リポート月刊コラムブログリンクお問い合わせ