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月刊コラム

2010年12月 メディカルツーリズム(医療観光)の推進を!

 4本目の滑走路がオープンし、国際便の運航を32年ぶりに再開するなど、羽田空港の国際空港化が着々と進んでいます。これに対して、成田空港は年間発着枠を30万回に増やすことが決まるなど、空の玄関の主役争いは激しさを増しています。成田空港が引き続いて多くの観光客に利用されるためにも、私は千葉県におけるメディカルツーリズム(医療観光)の推進を提案します。

 海外観光旅行がてら、現地の病院で健康診断などを受けるのがメディカルツーリズムです。この医療観光客は世界で600万人以上と推計され、市場規模は1000億ドルへ成長が見込まれています。日本政策投資銀行は、2020年時点で日本への医療観光客は43万人の潜在需要があり、市場規模は5500億円と試算しています。

 先進国はタイで、国を挙げてメディカルツーリズムを推し進めた結果、昨年はおよそ127万人の医療観光客が訪れ、9億4300万㌦もの収益を上げました。今年の医療観光客数は158万人を越えるものと予想されています。アジアではシンガポールや韓国もメディカルツーリズムに力を入れています。

 この有望分野をむざむざ見逃すわけにはいきません。本県は県内に優れた医療機関を持ち、何と言っても成田国際空港があります。さらに東京湾アクアラインを利用すれば、県外への観光旅行も容易と、メディカルツーリズムを推進するための条件がそろっています。県内の観光名所と組み合せば、本県観光分野の悲願である滞在型観光の振興にもメリットがあります。

 県内にも、このメディカルツーリズムに着目し、すでに乗り出している病院や自治体があります。鴨川市の亀田総合病院は医療の質を保証する国際的な認証を得て、医療観光客の受け入れ態勢を整えています。また、木更津市では中国富裕層をターゲットにしたメディカルツーリズムのモデルツアーを、かずさアカデミアパーク内のクリニックで行い、人間ドックを組み込んだ3泊4日のツアーに参加した中国の旅行会社関係者に好評でした。

 中国からの観光客誘致に力を入れている木更津市は、中国人宿泊客が大幅に伸びましたが、大部分が宿泊だけで、東京湾アクアラインを使って県外に行ってしまうという懸案事項がありました。そこでメディカルツーリズムを、観光客が1日でも長く市内に滞在してもらう切り札にしようというわけです。

 メディカルツーリズムを本格的に推進するためには、やはり、県による手助けが必要です。今年の9月定例県議会での一般質問で、県当局に全庁を上げて取り組むべきだと要請しましたが、担当部長も「検討する必要がある」と理解を示しました。

 しかしながら、メディカルツーリズムの推進は急務であり、すぐにでも始めなければなりません。国内でも熊本県や長崎県が旅行会社とタイアップし、県内観光地と最新のがん検診を組み込んだツアーを企画しました。大阪市や徳島県など、既に取り組んできた自治体もたくさんあります。

 このように県外の多くの自治体が自ら旗振り役となって、メディカルツーリズムに取り組んでいるのに比べれば、千葉県の出足は遅れていると言わざるを得ません。地の利や優れた医療機関などの施設を活用して多くの医療観光客を受け入れれば、成田空港発展だけではなく、他の県内産業にもきっと、多くの波及効果を及ぼすものと期待しています。

 

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