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月刊コラム

2012年2月 綱渡りの新年度予算案編成

 2012年度の県当初予算案が発表になりました。我われの暮らしと縁が深い一般会計は今年度予算より2・6%多い1兆6001億800万円で実質過去最大規模の予算になりました。

 新年度予算案のポイントはやはり、東日本大震災からの復旧・復興のための予算です。218億円が震災対応予算に充てられ、被災者の住宅再建への支援や市町村復興基金への充当、放射能監視・調査、堤防かさ上げなどの事業を行うとしています。

 震災関連の事業として、水門操作遠隔化システムの整備が盛り込まれました。東日本大震災では、水門を閉めようと向かった消防団員らが多数、津波の犠牲になりました。被災地以外の地域では、交通渋滞で水門までたどり着けなかったところも多かったそうです。県では津波襲来に備えて、遠隔操作で水門を閉めるシステムを整備するということです。

 東日本大震災では太平洋岸の沿岸地域が津波による被害を被り、さらに最新のシミュレーションでは、大地震の発生で東京湾内の沿岸でもかなりの高さの津波襲来が予想されるということです。このため、県は津波による浸水予測図を作成し、市町村のハザードマップ作成のベースとする予定です。

 千葉県が直面している課題のひとつに医師不足があります。全国の医師数は人口10万人当たり224人(2008年12月現在)ですが、千葉県は167人で全国45位です。ちなみに隣の東京都は296.6人となっています。このため県内の病院の勤務医は多忙を極め、これを嫌って医師が県外に去ってしまうという悪循環になっています。この状況を打開するために、新年度予算案では医師確保関連予算に5億4700万円が充てられました。このほか、59億2900万円を計上して子ども医療費の助成対象を中学3年生まで拡大するなど子育て支援にも目が向けられています。

 問題は予算の財源確保です。高齢化の進行による社会保障費の増加などで2年連続のプラス予算になった2012年度県予算ですが、デフレや震災の影響で税収が落ち込む中、活用できる基金をすべて取り崩すなどして286億円の財源不足を埋めました。まさに綱渡りの予算編成です。

 予算の財源にするために、職員の退職手当債を154億円発行することにしています。県債発行は全体で2509億5200万円になり、県債残高は2012年度末で2兆8658億円に達します。国がのちほど返済してくれる臨時財政対策債が増えているのが要因とはいえ、県民の一人当たりの“借金”は46万7000円にもなります。

 県は平成15年度から平成17年度までを期間とする財政再建プランを作成し、財政構造の体質強化に取り組みました。しかしながら景気の動向が影響しているとはいえ、現在の状況は一向に改善していません。このままでは財政再建団体への転落という事態も現実味をおびてきました。県民の生活が大幅に制約される財政再建団体になることは、なんとか回避しなければなりません。一つひとつの事業とともに、県の財政改革もじっくり検討していきたいと思います。

 

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