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月刊コラム

2012年9月 いじめ追放に真正面から取り組もう

 学校でのいじめが改めて大きな社会問題になっています。楽しい場所であるべき学校を苦痛の場に変えてしまういじめ。心に大きな傷を残し、自らの命を絶つことさえ決心させるいじめの根絶へ向けて、教育関係者はもちろん、私たちも全力をあげなければなりません。

 昔から学校でのいじめは教育現場の大きな課題でした。いじめ追放に向けてさまざまな試みがされてきましたが、一向に無くなる気配を見せません。昨年10月には滋賀県・大津市立中学の2年生男子生徒が、同級生からのいじめを苦にして自殺したとされる事件が大きく報道されました。今年9月には学校で言葉によるいじめを受け続けていた兵庫県川西市の県立高校2年生が自殺したということです。

 県内でも学校でのいじめ事件が後を絶ちません。2000年には市原市立中学3年の女子生徒がいじめを苦にしたとして自殺しました。今年9月には松戸市立中学の1年生男子生徒が、不登校になるほどのいじめを受けたとして警察に被害届を提出しました。

 本県教育界にとって衝撃的な調査結果も明らかになりました。このほど文部科学省が公表した児童生徒の問題行動に関する調査結果によりますと、2011年に私立を含む県内の小中学校や高校で認知されたいじめ件数は7452件で、愛知県に次いで全国2番目に多かったということです。児童生徒千人あたりの認知件数では11・4件で、全国平均の5件を上回り、全国4番目の多さだったということも明らかにされました。また、暴力行為の発生件数は3188件で、小学校で増加するなど低年齢化が顕著でした。

 県教育委員会では臨床心理士、学校心理士などによる24時間電話相談を行うなど、いじめ撲滅に全力をあげているとのことです。もちろん、学校の先生もいじめ追放へ最大限の努力を続けていると思いますが、残念ながら数字で見る限り、道遠しといった状況です。

 子どもによるいじめの根底には、おのれの不安を引き金とした他者への攻撃、いじめることによって得た快感などがあると言われています。児童心理に深く根ざした行為であるため、絶滅が難しいのです。

 難しいといっても、指をくわえて見ているわけには行きません。さまざまな対策を実行に移し、学校という周りの社会から切り離された場所で行われる陰湿ないじめの根絶を図らなければなりません。東京・品川区では、いじめの加害者を出席停止にする制度を積極的に運用する方針を決めました。学校教育法で規定されている制度で、「教育指導の放棄だ」などと反対する意見も多いのですが、いじめ撲滅には断固とした姿勢が必要ですし、そもそも議論ばかりでは埒が明きません。

 そして、何よりも大事なのがいじめの早期発見です。大津市の事件では、不幸なことに学校側にいじめを察知する能力が欠けていたようです。教師一人ひとりがアンテナを高くしていじめの気配を察知し、対策をとるべきです。対応が遅れれば子どもの心に深い傷を残します。不幸な出来事が起きてから、決まっていじめがあったかどうかが問題になっていますが、被害者が「いじめられた」と感じた時点でいじめと認識しなければならないと思います。いじめ根絶が難しいならば、何としても芽のうちに摘み取る努力をしなければなりません。

 

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