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月刊コラム

2014年9月 デング熱騒動を警鐘に

 熱帯病のデング熱に罹患する人が相次ぎ、大きな問題になっています。直ちに命に係わる病気ではないようですが、耳慣れない病気が国内で発生したことで、わが国の防疫体制を改めて検証しようという声も出始めています。

 8月半ば、代々木公園でダンスの練習をしていた女性がデング熱を発症、この患者を皮切りに、患者数は130人を超えました。患者の住まいは全国各地に広がっています。患者のほとんどが代々木公園や新宿公園を訪れ、蚊に刺されて罹患したとみられているのはご存知の通りです。県内からも患者が発生し、森田知事が「外出時は虫よけスプレーの使用や長袖を着るなど注意してほしい」と警戒を呼びかけました。

 デング熱はウイルスを持った人の血液を吸血し、体内でウイルスを増殖させたヒトスジシマカに刺されると感染します。高熱、目の痛み、頭痛などの症状を発症する人は感染者の約半数、重症になる人はその中の約1%ということです。さらに、人から人にうつることもないので極度に恐れることはないのですが、それでもつらい症状に何日も苦しむということですから、正しい知識で罹患を防がねばなりません。

 蚊の活動期間は9月の半ばまでで、成虫の寿命は長くて約1ヶ月、1匹の活動範囲はせいぜい半径50m程度です。ヒトスジシマカは越冬せず、卵を通じて次世代の蚊にデング熱がうつった例はないということで、これから流行騒ぎは収束に向かうと思われますが、問題はなぜ、熱帯の病気が流行したかです。国内では1942年に東南アジアから船員によってデング熱が持ち込まれ、それから3年間にわたっておよそ20万人の患者が感染しましたが、それ以後目立った流行はありませんでした。

 今回の70年ぶりの流行の背景には地球温暖化の影響があると分析する人もいます。地球温暖化で平均気温が上がり、今年は全国で雨が多く、ウイルスを媒介する蚊が増殖したと話しています。デング熱を媒介するヒトスジシマカはもともと関東地方から南の地方に生息していましたが、最近は東北まで生息場所を広げています。これも地球温暖化の影響だというのです。

 さらに平均気温が上がり、雨量が増えるとウイルス媒介力がつよく、デング熱のほか、アフリカ諸国や中南米で流行している黄熱病も媒介するネッタイシマカが国内で生息する可能性も指摘されています。アフリカのナイル川西側で最初にウイルスが発見されたところからその名が付けられた西ナイル熱や、マラリアも蚊が媒介する病気で、今回のデング熱騒ぎはいつ何時、国内でそれらの病気が流行するか分からない可能性を示しています。

 輸入感染症という言葉があります。海外で病気に感染した人が航空機で来日あるいは帰国し、まだ症状が出ない潜伏期間中に空港の検疫を通過して、国内にウイルスや細菌などの病原菌が持ち込まれてしまうことを言います。国際空港ではこれらの病原菌の国内上陸水際阻止に懸命で、成田空港でも海外で病気が流行すると、サーモグラフィーの映像から乗客の熱を計ったり、乗客の体調の聞き取り調査を強化したりしています。

 地球規模での人の往来が盛んに、スピーディになった今、今回のデング熱騒動を警鐘と捉え、熱帯病を遠い異国の病気と軽んぜずに、あらゆる感染性の病気への警戒をおろそかにしないことが必要です。

 

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