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月刊コラム

2014年12月 米価暴落

 米価が暴落し、生産農家が悲鳴を上げています。国は収入減少影響緩和対策(ならし対策)の特例措置で補填をするなど、農家救済に当たっていますが、肝心の米価は下がったまま。農家から「米をつくっても、生活できない」という悲痛な声が聞こえてきます。

 農林水産省の資料では、平成26年10月の千葉県産コシヒカリ相対取引価格を例にとると60キロあたり1万1600円で、昨年10月の価格より2600円も下回っています。前年産米の在庫が市中に出回り、26年産米の価格を押し下げたことが、全国的な記録的安値の原因と言われていますが、最大の要因は以前から言われている米消費の減退でしょう。

 統計によると、50年前の米消費量は成人1人当たり年間112キロでした。それが、今では56キロしか米を食べていないそうです。ちょうど半減です。米価下落の背景に現代人の食生活の変化による需要と供給のバランスの問題があるとすれば、今後、一時的に米価が上がるとしても、生産費が十分ペイできる恒常的な米価格の維持は難しいでしょう。

 種籾費、肥料代、機械の減価却費などがかさみ、「作れば作るほど赤字」という状況が続けば、やがて農家は稲作をやめ、我が国農業の基幹である米作農家がいなくなるという事態も想定されます。

 私たち県議会農政問題研究議員連盟のメンバーは勉強会を開催し、県農林部の担当者からこの状況の説明と対策を聞きました。それによりますと、平成25年7月から26年6月までの全国の米需要実績は全国で787万トンだったのに対して、27年6月末の民間在庫量は230万トンだったそうです。この米余りによる米作農家の窮状を救うため、県では飼料用米の栽培を米作農家に推奨しているとの説明でした。

 飼料用米とは文字通り、家畜の飼料用の米のことです。国や県、市町村のさまざまな助成制度があり、県の試算では2ヘクタールで主食用米を生産(コシヒカリ535キログラム収穫)した場合、平成26年産で農家の収入は160万5000円であるのに対し、すべて飼料用米(専用品種で685キログラム)を生産した場合、市町村の助成金を合わせると287万8820円になるとのことでした。既存の機械や施設をそのまま使用できるほか、水はけの悪い湿田でも作れるそうです。

 確かに、農家にとって悪くない話です。全国的に主食用米から飼料用米への転作が進めば、主食用米の生産が減り、需要・供給のバランス是正にもなるでしょう。ただ、飼料用米の価格がいろいろな助成制度に支えられたものであるというのが気になります。助成制度の恒久化が必要です。

 海外への輸出も米の需給バランスをとる上で有効です。香港やシンガポールでの日本産米の評価は高く、現地の米価格の1.5倍から2倍でも売れるそうです。「日本米」というブランドを武器に輸出量が伸びれば、米余り解消の一助になることでしょう。海外販路拡大に国、生産団体、販売会社が力を合わせて取り組んで欲しいと思います。

 

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