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月刊コラム

2015年9月 自然災害に備え「自助」を考える

 茨城、栃木、宮城3県での豪雨災害で亡くなられた方のご冥福を、また、被害を受けられた住民の方々が、速やかに元通りの生活を取り戻すことができますようにお祈りします。

 北関東、東北での記録的な大雨で茨城県2人、栃木県3人、宮城県2人が犠牲となり、栃木、茨城両県などで約1万8000戸が床上、床下浸水しました。各地で洪水被害をもたらした記録的な大雨は「線状降水帯」によるものと言われています。台風18号から変わった低気圧の影響で太平洋上の湿った大気が次々と送り込まれ、帯状に積乱雲を発生し、大量の雨を降らせました。

 大雨で鬼怒川の水位が一挙に上昇、茨城県常総市では10日朝に堤防を越えて川の水があふれ出る越水が発生、その6時間後には最初の越水箇所の4キロメートル下流で堤防が20㍍に渡って決壊し、東京都江東区の面積に相当する40平方キロメートルが浸水しました。川から流れ込む濁流に多くの住民が孤立、自衛隊のヘリコプターで救助される光景をテレビではらはらしながら見た人も多いと思います。

 常総市ハザードマップでは「100年に一度」の大水が襲った場合、同市の鬼怒川左岸はほぼ冠水するとされていました。今回の洪水ではほぼ、その予測通りになりました。分かっていながら、なぜ洪水を防げなかったのだろうかという疑念が残ります。一部地区の住民への避難呼びかけをし損なうというミスもありました。鬼怒川の堤防決壊で大きな被害を被った三坂町の8地区のうち、6地区の約350世帯の住民に対して避難指示が出されたのは、堤防が決壊した後でした。

 災害時の行政の対応が後手に回った過去の例として、2013年の伊豆大島の土砂災害が思い出されます。台風26号の影響で島の各地で土砂崩れが起き、39人の住民が死亡・行方不明になりました。大雨が降り続いている中、町は危険性を認識しながら避難勧告を出さず、結果、多くの住民が命を落としました。

 鬼怒川の水害で常総市の市長は「そこが決壊するとは思わなかった」と弁明したそうです。伊豆大島の災害後、内閣府は空振りを恐れず、早めに避難勧告・指示をだすよう、自治体に向けて新しいガイドラインを示したはずです。伊豆大島での教訓、改正されたガイドラインが今回の水害では生かされませんでした。

 自然の堤防の役割を果たしていた鬼怒川の岸の小高い丘が、太陽光発電のソーラーパネルを並べるために削られていたということです。市は住民からの通報でこの事を事前に承知していましたが、民有地のために有効な手が打てませんでした。結局、この場所から鬼怒川の水が最初にあふれ出ました。

 最近では「かつて体験したことが無い」「数10年に一度」などと形容される異常気象が相次いでいます。鬼怒川堤防が決壊した場所より下流では、水が堤防を越えそうになったため、住民や消防団員が力を合わせて土嚢を積み、決壊を食い止めたそうです。災害に直面した時、行政の的確な対応に期待するのはもちろんですが、まず自分達で何ができるか、どう対処するのかの「自助」について考え、日頃からしっかりと準備することも大切です。

 

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