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月刊コラム

2018年6月 スロースリップ地震

 6月18日朝、大阪府北部で震度6弱の強い地震があり、5人の人命が失われ、5000棟もの建物が損壊するなどの大きな被害が発生しました。被災者の皆様に心からお見舞い申し上げます。

 一方で、千葉県では14日と16日にいずれも6回の揺れが観測されるなど、6月に入ってから地震が頻発、加えて浦安沖などでクジラが泳いでいるのが発見されたこともあって、「大地震の予兆ではないか」との不安が県民の間に広がっています。

 大阪府での地震に前後して千葉県で頻発した地震は、岩盤の境目がゆっくりとずれて動くスロースリップ現象による地震だそうです。房総半島東部から千葉県東方沖にかけての海底は北米プレートの下にフィリピン海プレート、さらにその下に太平洋プレートが沈み込むという複雑な構造になっています。それぞれのプレートは独自に動き、境目がゆっくりとこすれて地震を起こします。これがスロースリップ現象による地震です。

 東日本大震災発生の1カ月前には東北沖のプレート境界でスロースリップ現象が起きていたという報告があることから、房総半島沖で巨大地震発生の前兆と警鐘を鳴らす学者もいます。「次に巨大地震が起きるのは千葉県沖で間違いない」と断定する記事を掲載した週刊誌も発売され、県民の不安をあおっています。ただ、房総半島沖ではこれまでも約2~6年周期で地殻変動が起こり、プレートの境界が約1週間かけて10㌢ほどずれ動くことが明らかになっています。これに伴う地震規模は最大でマグニチュード5クラス、震度5弱ほどでした。政府の地震調査委員会の委員長で東大地震研究所地震研究センター長の平田直教授も、今回の千葉県沖でのスロースリップ現象で直ちにマグニチュード8クラスの巨大地震が襲来するとは考えられないということです。

 とりあえず、すぐに右往左往する必要はなさそうですが、依然として南海トラフ大地震や首都直下型地震の発生が間近に迫っているということに変わりはありません。今後30年以内に70~80%の確率で発生するとされている南海トラフ巨大地震では関東から九州まで激しい揺れの後に大津波が襲来、最大で32万3000人が死亡する恐れがあるということです。土木学会の試算では、長期的に被害額は現在の国予算のおよそ14倍、1410兆円に上り、日本は世界の最貧国に転落するとのことです。

 巨大地震襲来に備えて私たちができることは、身を守る術を考え、生き延びるための用意をしておくことです。非常食や水、懐中電灯などの防災グッズを用意しておくのは既に常識です。それに加えて、今回の大阪府での震災にも災害対策を学ばなければなりません。

 大阪府の地震では登校する途中の学童が倒れたブロック塀の下敷になって死亡しました。控え壁を備えるなどの安全基準を満たしていないブロック塀による被害は過去の地震でも数多く見られています。昭和53年の宮城県沖地震では、ブロック塀の倒壊でたくさんの人が死傷し、平成7年の阪神・淡路大震災でも多くのブロック塀が倒れました。屋外で地震に遭った際にはブロック塀から離れるなどの心構えが大切です。

 犠牲者の中には、崩れ落ちてきた雑誌などの下敷になって死亡した人もいました。地震による家具転倒防止の対策が勧められ、そのための様々なグッズも販売されていますが、実際に対策を施している世帯はどれほどあるでしょうか。今回の地震発生時の模様がテレビで放映されましたが、激しい揺れでさまざまな物が落下し、棚が倒れる様子が映し出されていました。家具の転倒防止も真剣に考える必要があります。

 大地震や大津波の前に人間はあまりにも無力ですが、自らの命を守る事前の準備はできます。大震災に遭遇しても3日間生き延びれば何とかなるといわれています。震災が発生するたびに言われることですが、大地震への備えは今からでも早すぎるということはありません。

 

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