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月刊コラム

2019年5月 子どもを犯罪から守ろう

 川崎市で小学校の児童らを標的にした無差別殺人事件が起きました。包丁を手にした男がスクールバスを待っていた児童らを襲い、2人が死亡、17人がけがを負いました。子どもを狙う犯罪が全国各地で発生しています。子どもを犯罪から守るのは私たち大人の責務です。これまでもさまざまな対策が施されていますが、さらに効果的な防止策を考え、実行に移さなければなりません。

 子どもが犠牲になった凶悪犯罪として、14歳の中学生が児童2人を殺害した神戸連続児童殺傷事件が記憶に残っています。酒鬼薔薇と名乗った犯行声明文が残されるなど、残虐な犯行で人々にショックを与えた事件でした。このほか、2001年には大阪府池田市の小学校に侵入した男が児童に切りつけ、8人を殺害した池田小事件が発生しました。昨年には、新潟県新潟市で下校中の小学2年の女児が殺害されて線路上に遺棄された事件もありました。

 県内では、2017年3月、ベトナム国籍で松戸市の小学校3年生女児児童が登校途中で行方不明になり、我孫子市の草むらで絞殺体で発見されるという事件が起きました。この事件の犯人として、女児が通っていた小学校の元保護者会会長が逮捕されました。

 これらの事件を契機に、児童を守る様々な取り組みが行われるようになりました。池田小事件の後、全国の小学校で監視カメラをつけ、部外者の立ち入りを厳しくするなどの対策が進みました。また、教室内での異変を察知するために見通しがいい教室が配置された小学校も増えたそうです。全校児童に防犯ブザーを持たせる小学校も今では珍しくありません。

 いざという時に大きな声で助けを求める訓練を行っている小学校もあるそうです。子どもは身に危険が迫ったときにすくんで、声が出なくなります。防犯ブザーは取り上げられたり、止められたりしたら役立たなくなります。万一に備えて大声で助けを求める訓練を家庭でも行ってはいかがでしょうか。

 通学路や学校内を見回るボランティアがスクールガード。平成21年に文部科学省は警察官OBらがこのスクールガードを指導し、さらに各学校を定期的に巡回して警備のポイントや改善を指導するスクールガード・リーダー制度を打ち出しました。県内では現在、船橋市が実施していますが、導入を検討したものの、人材難や費用の面などで見送ったところも多いようです。児童の安全確保に警察官の警備のノウハウを役立たせようというこの制度への前向きな対応が望まれます。

 「いかのおすし」という言葉をご存知でしょうか。「知らな人についていない」「他人車にのらない」「おごえを出す」「ぐ逃げる」「何かあったらすぐらせる」の一部をつなげたもので、平成16年に東京都と警視庁が考案。その後、全国に広まり、犯罪に会わないよう子どもの自覚を育てる合言葉になっています。

 犯罪の被害にあったり、会いそうになって助けを求めてきた子どもを保護し、警察への通報などを行う「子ども110番の家」も年々数を増やしています。県石油商業組合は「かけこみ110番」として、ガソリンスタンドを子どもの避難所にしています。「セーフティーステーション」と名付けられたコンビニも子どもの保護に一役買っています。普段、人気の無い通学路には子どもを見守る防犯カメラがいくつも設置されるようになりました。

 このようにハード、ソフト両面から子どもを守る様々な試みが行われていて、スクールバスによる送迎もその一つでしたが、川崎市ではそのスクールバスを待つ児童が犠牲になりました。これまでに行われてきた施策も、それで絶対に安心だというわけではないのです。卑劣な犯行から子どもを守るために、さらに事故から子どもの命を救うためにも自助公助問わず、対策を積み重ねていくしかないと思います。

 

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