いったんは落ち着きを見せていた新型コロナウイルス感染症の第二波流行ですが、10月に入ってから患者の微増傾向が続いています。欧州では流行の再拡大に、再び都市のロックダウンをする国も現れました。これから気温が低く空気が乾燥する季節に向かいますが、新型コロナがこの季節に活発化するのではとの懸念もあります。感染防止のための一層の注意が必要です。
フランスでは、12月1日まで全土で再び、都市封鎖(ロックダウン)が行われました。食品など生活に必要不可欠な商品の購入、クリニックや病院への通院のほか、運動のために毎日1時間外出する以外は自宅待機が国民に命じられています。ベルギーも12月13日まで都市封鎖に突入、ドイツではバーやレストランの営業停止、集会の制限が検討されているそうです。
我が国の感染者もじりじりと増え続け、10月末には新型コロナウイルス感染症患者が累計で10万人を突破しました。県内の感染者も10月31日現在で5000人を超えました。自粛生活を強いられてきた反動でしょうか、休日の繁華街などでは密の状態でのにぎわいが見られるようになりましたが、新型コロナの収束出口はまだ見えていないのです。けっして気を緩めてはいけません。
新型コロナウイルス感染症患者が冬季にいっぺんに増えるのではと見る向きもあります。インフルエンザなどの呼吸器系ウイルス感染症患者は気温が低く空気が乾燥した冬に増加します。乾燥した空気でウイルスの伝染力が高まる上、気温の低下で人々が同じ室内にこもる機会が増えるからです。同じコロナウイルスの新型コロナもこれからの冬季に一層、暴威を奮うのではないかと危惧されています
新型コロナウイルス感染症の患者数が、気温が低い地域ほど多いという研究もあります。2020年2月の各都道府県の平均気温と2020年1月の中国からの旅行者の数について検証したところ、気温が低い地域ほど感染者数が多いという関連がみられたそうです。日本以外でもブラジル、中国、アメリカでも同様に「気温や湿度が低いほど患者数が増加する」という研究結果が報告されています。 7月に南半球で冬を迎えたオーストラリアのメルボルンでは、3月の最初の流行時を大きく上まわるペースで感染者が増加したといいます。
新型コロナとインフルエンザの同時流行も心配されています。新型コロナ感染防止のためにこまめな手洗いや消毒が励行されたためか、これまでのところ、例年と比べてインフルエンザの患者数は大幅に減っているようですが、インフルエンザの本格的な流行シーズンはこれからです。油断は禁物です。新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスを同時に検出できる試薬も出回っていますが、症状を自覚して病院に駆け込む前に、密を避け、マスクをし、手洗いとうがいを欠かさずに行うなどの感染防止対策がますます大切になっています。
政府は経済活動の再開のため、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた入国制限措置の緩和を進めています。ただ、我が国の新型コロナウイルス流行が中国からの入国者や外国からの帰国者から始まったということを忘れてはなりません。千葉県など1都3県の知事は経済再生担当大臣に、入国制限措置を段階的に緩和する際には万全の対策を講じるよう求める要望書を手渡しました。成田空港などの検疫体制の抜本的な強化が必要です。