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月刊コラム

2012年12月 恫喝外交エスカレートの阻止を

 北朝鮮が多くの国々の反対を押し切り、事実上の長距離弾道ミサイルを発射しました。金正日総書記の一周忌を期に、体制固めを図りたいという金正恩第一書記の思惑もあったのでしょうが、まったく遺憾な出来事です。引き続いて核実験を強行するのではないかと言われています。わが国は北朝鮮の挑発に毅然とした対応をとり、暴走を食い止めなければなりません。

 今回のミサイル発射の費用は推定で8億5000万ドル、北朝鮮国民の5分の4の人々の食料1年分にあたると言われています。また、総費用は13億ドルにのぼり、この金でトウモロコシ460万トンが買え、北朝鮮全国民が4~5年空腹を満たすことができるという見方もあります。

 一般国民が慢性的な飢餓状態にあるとされている北朝鮮が、それほどまでの大金を費やし、なぜ大陸間弾道ミサイルを打ち上げなければならなかったのでしょうか。まず言われているのが、父親の金正日総書記の後を継いだ金正恩第一書記の体制固めという説です。正恩第一書記が実権を握って、国内では新しい指導者に改革の期待が寄せられていたのですが、1年たっても状況は変わらず、国民に失望感が広がっていると言われていました。不満を持つ国民に軍事衝突などのショッキングな事実を見せつけて現実から目をそらさせるのは、多くの独裁者がとった常套手段です。

 また、米国からの支援を取り付けるために、核ミサイルという新しいカードが欲しかったためでもあるとも分析されています。2012年2月末、米朝会議でアメリカは原発や核実験の停止を条件に24万トンの食料支援を約束しました。失敗に終わった第1回の弾道ミサイル打ち上げで、この約束は反故になりましたが、より多くの支援をあてにするために、大陸間弾道ミサイルは強力な外交カードになりうるとの判断が北朝鮮にあったのでしょう。

 「北朝鮮を孤立させると、何をしでかすか分からない。それよりも対話や支援をして、国際社会に融合させよう」との関与政策が成果を上げないことが、今回の大陸間弾道ミサイルの発射で明らかになりました。オバマ大統領も、先の大統領選で対立候補のロムニー氏から北朝鮮への支援を執拗に攻撃され、これ以上、飴と鞭の使い分け政策を続けることは難しくなりました。

 原子炉、ミサイル、核実験、そして今回の大陸間弾道ミサイルです。これまで多額の支援取り付けに成功した北朝鮮は、ますます恫喝外交をエスカレートするであろうことは明白です。世界各国は協力して、世界平和を危うくする北朝鮮の恫喝外交エスカレートをやめさせなければなりません。

 北朝鮮と至近距離にある日本は、断固とした決意を北朝鮮に示すべきです。それには、イスラエルの対応を参考にすべしという意見があります。イスラエルは自国の安全が脅かされるイランの核開発を阻止するため、いつでもイラン空爆を行う用意があるとの意思を明らかにしています。誤解しないで頂きたいのですが、私は軍事衝突を肯定しているのではありません。国の防衛の危機には断固として対抗するとの決意を示すことが大事なのです。

 防空体制の整備も推し進めるべきです。ミサイルが国土に落ちてからでは間に合いません。ミサイル発射を察知し、迎撃し、反撃する十分な態勢を整える必要があります。

 もちろん、対話のチャンネルは確保していくべきです。国連、6カ国協議の場を通じての北朝鮮への働きかけを続行し、その上で、わが国は徹底した経済制裁などの制裁を発動し、北朝鮮の牙を封じ込めるべきです。

 少しずつですが着実に北朝鮮の技術力は増しています。もし核ミサイルの開発に成功してしまえば「命が惜しければ支援しろ」という文字通りの恫喝で世界を恐怖に陥れるでしょう。「遺憾だ」というメッセージだけでは北朝鮮の暴走は止まりません。近々に発足するであろう安倍政権には、毅然とした対応が求められます。

 

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