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月刊コラム

2013年11月 信頼を裏切った食品偽装

 食品偽装問題が世間を騒がせています。有名ホテルが、メニューに表示されたものとは異なる食材の料理がレストランで提供されたと発表したのが事の発端でした。それ以降、「実はうちも…」と偽装を告白するホテルや飲食店、百貨店が相次ぎました。

 「メニューを書き換えるのを忘れた」「調理の現場との連絡ミスだった」などという釈明が続きました。一部には確かにそのようなケースもあるとは思いますが、空々しい言い訳に聞こえた説明も多々ありました。車えびをブラックタイガー、レッドキャビアはトビウオの卵、ステーキに牛の脂を注入、絞りたてでないフレッシュジュース…。「調理してしまえば、客には分からないだろう」という意識があったとしたら、なんと情けない行為なのでしょう。たまにはちょっと奮発して、美味しい料理を食べてみたいという消費者を欺く行為として糾弾されるのも、致し方のないことです。

 今回はレストランでの食材偽装でしたが、これまでも様々な食品偽装が相次いで表面化してきました。国外産の牛肉を国内産と偽って、BSE牛対策に追われる国に買い取らせようとした産地偽装や、農薬が検出された事故米を転売した食用の適否偽装、さらに賞味期限偽装などが明るみに出て、消費者を憤慨させてきました。食肉会社が鶏や豚、パンの切れ端などを混入させたミンチ肉を牛肉のミンチとして販売していた事実が明らかになり、社会問題となったケースもありました。

 止まることのない食品偽装ですが、実は古代ローマの時代から食品偽装が行なわれてきたようなのです。食品偽装の歴史を綴った書物によると、古代ローマ人は水で薄めたワインの劣化を防ぐために鉛を加えていたといいます。19世紀にはエンドウ豆とインゲン豆でつくられたコーヒーや銅で着色されたピクルスが横行しました。

 偽装された食品は往々にして健康に害を及ぼします。鉛は生殖能力を損なう有害物質ですし、中国で横行しているニセ食塩は化学工業原料を含む工業塩で、長く摂取しているとガンを誘発するそうです。事故米が転売された事件では、農薬やカビが検出された米が煎餅や酒に加工されて販売されました。

 それに比べると、今回の食品偽装は高級な食材を使用していたかのようにみせかける表示偽装で、健康への害は無さそうですが、消費者への重大な裏切り行為であることは間違いありません。さらに懸念されるのは、今回表面化した表示偽装が氷山の一角で、実はメニューに表示されたものとは異なる食材を使用する手口が、世間に横行しているのではないかと思われることです。偽装問題が発覚してから伊勢えびの値段が3割ほどアップし、「ロブスターを伊勢えびと称して料理に使用していた店が、慌てて本物を買い求め始めたのでは…」と憶測を呼んでいます。

 日本人のブランド志向が今回の食材偽装を招いたと指摘する声もありますが、私は決してそうは思いません。ブランド食材は確かに上等で美味しいからこそブランドとして認められているのであり、それを食して味を楽しもうというのはごく普通の願望です。

 食の表示について、法令上で線引きが曖昧なことが、今回の事件の引き金になったとする報道もあります。JAS法で禁じられている「優良誤認表示」に抵触するかは、各メニューの表記について、消費者に「優良誤認」を与えたかどうかを一つひとつ判断するしかないそうです。儲けのために消費者をないがしろにする行為を防ぐためにも、法整備を急ぐ必要がありそうです。

 

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