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月刊コラム

2014年4月 小中一貫教育

 成田市に小学校と中学校が一体となった公立小中一貫校「下総みどり学園」が開校しました。県内では鴨川市の「長狭学園」、市原市の「加茂学園」に続いて3校目の小中一貫校です。戦後、長い間続いてきた6・3・3制を変革する試みとして注目されています。

 「下総みどり学園」は市内の滑川、小御門、名木、高岡の4小学校を統合して下総小学校とし、下総中学校と一緒になりました。児童・生徒数は416人、9年間を1年生から4年生までの前期、5年生から7年生までの中期、8年生から9年生までの後期に分け、小中9年間に渡って、切れ目のない一貫教育を行います。

 公立の小中一貫教育校は2006年、東京都品川区の区立第二小と区立日野中が合併したのが最初です。それから8年、今では全国で100校を超す公立小中一貫校が誕生しています。県内では入学した児童がわずか4人だった小学校がでるなど、過疎化による学齢児童減少への対策が急務だった鴨川市長狭地区で、2009年に地区の3小学校を合わせた長狭小と長狭中を合併し、「長狭学園」として開校したのが最初です。続いて2013年には市原市に「加茂学園」が開校しました。

 小中一貫教育のメリットとしてどの学校も「中1ギャップ」の解消をあげています。「中1ギャップ」とは、小学校から中学校に進学して環境が変わったことで生徒が戸惑い、学校になじめなくなる現象です。友達が出来ずにクラスで孤立したり、学習レベルが上がって授業内容についていけなくなることなどで、不登校やいじめ、学力低下を招くことが懸念されるというものです。これに対して小中一貫校では従来の中学1年生にあたる7年生になっても、周りは見知った者ばかり、さらに中学校の教師が小学生に授業を行うなどして、スムーズな中学教育への移行が期待されるというわけです。

 小中一貫教育のモデルとして、しばしばフィンランドの教育制度があげられます。フィンランドではかつて6・3・3・4年の教育制度でしたが、今では小学校6年間と中学校3年間を合併し、総合教育として一貫教育を行っています。そして、OECD(経済開発協力機構)の学力テストでは4年連続して世界1位になるなど、輝かしい成果を上げています 。

 一方で小学教育と中学教育を統合したことによるマイナス面も考えられます。小中一貫校では「中1ショック」が解消される反面、小学生から中学生への明確な切り替わりがなく、惰性に流れるのを心配する声があります。さらに、小学時代にいじめなどに遭っていた児童にとって、そのままの環境が中学に持ち越されるのは耐え難いことでしょう。

 小中一貫校、小中一貫教育についてのアンケートでも、心配や不安の声が多数寄せられています。「小学低学年と中学高学年ではあまりにも体格差があり、合同の運動会では健全な印象ではなかった」「チャレンジ精神がなくなるのでは」「いろいろな人と知り合い、考え方を学ぶ機会を失う」など、様々な意見が見られます。

 しかしながら、小中一貫教育の試みは時代の要請なのです。我が国の教育は戦後、一貫して6・3・3制を維持してきましたが、時代は新しい学制の模索へ向かっています。公立学校の中高一貫教育の試みもその一つです。安倍首相も学制改革の実行を国会で表明しています。「下総みどり学園」などこの流れに先行した県内3校は、学校が一体となって一貫教育のデメリット解消に努め、メリットを最大限に具現化する努力が求められています。

 

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