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月刊コラム

2015年1月 多発するバックカントリー遭難

 シュプールがまったくない手付かずの冬山を滑る、バックカントリーの人気が近年高まっています。しゃれた名前ですが、要するに山スキーです。非常に危険なので当然すべきではない行為ですが、ここのところスキー場でコース外の斜面を滑り、雪崩に巻き込まれるなどして遭難するケースが目立っています。スキー場側も安全のため、禁止の看板を立てロープやネットで仕切るなどの対策も取っているのですが、新雪を求めてそれを乗り越えていくスキーヤーやスノーボーダーが後を絶ちません。

 「ルールを無視した遭難は自己責任」というわけにはいきませんので、人命を救うために多くの人々が危険を冒して捜索に当たります。税金でまかなわれる捜索費用もかなりの額になります。どのスポーツにもルールがあります。ルール違反は厳に慎まなければなりません。

 1月4日には、新潟県湯沢町のかぐらスキー場付近で行方不明になっていた東京都の男女3人が県警のヘリに発見され救助されました。コースの外に出て、整備されていない雪面をスノーボードで滑っているうち、道に迷ったそうです。

 かぐらスキー場は苗場スキー場とも連結する広大なスキー場で、多くのスキーヤーやスノーボーダーに人気があるスキー場です。ロープウエーで上った先に広がるゲレンデは良く整備されているのですが、コースを外れたら、そこは十分な登山装備が必要な厳寒の冬山です。救助された3人は「冬の山がこんなに恐ろしいところだったとは…。行動が甘かった」と無謀さを反省していました。

 この3人は一命を取り留めましたが、長野県の竜王スキー場では、コース外を滑ったアルゼンチン人が雪崩に巻き込まれ、2人が死亡、長野県白馬村の北アルプスでは3人が行方不明になりました。このほかにも各地で、バックカントリーのスキーヤーやスノーボーダーが遭難しています。

 圧雪整備をしていない雪面を滑るには非常に高度なテクニックが必要です。スキーの先端が雪にもぐり、吹き溜まりでは立ち往生してしまいます。常に雪崩の危険もつきまといます。救助に当たった消防署員が「いかにも雪崩が発生しそうな場所だった」と振り返った遭難現場もありました。

 危険と背中合わせの場所でバックカントリーをするには登山届・登山計画書の提出が必要としているスキー場も増えています。専門家は十分な冬山装備、雪崩で埋まった際に使用するビーコンの所持、ガイドを雇うなどの準備を呼びかけています。ゲレンデスキーの延長で立ち入り禁止区域を滑るなどもってのほかなのです。

 山岳遭難者の捜索・救助には地元の警察や消防署、自衛隊などがあたりますが、費用は全額、税金でまかなわれます。ただ、民間の山岳救助隊が動員された場合、救助隊員一人あたり1日3~5万円の費用は遭難者やその家族に請求されます。民間のヘリを1時間飛ばすと約50万円かかり、総額で1軒、家が建つほどの額に上ることもあるそうです。

 日本のスキー場はどこも良く整備され、リフトが完備、ゲレンデには音楽が流れて、しゃれたショップがあるスキー場さえあります。しかし、そこはあくまで冬山。標高が100メートル上がるごとに気温が0.6度下がることも忘れてはなりません。吹雪けば体感温度がどんどん下がります。ましてコース外は、多くの危険が潜む場所です。ウインタースポーツはルールを守り、安全に楽しみたいものです。

 

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