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月刊コラム

2018年9月 北海道地震でのインフラ被害

 北海道胆振東部地震で亡くなった方のご冥福をお祈りするとともに、けがを負った方、家屋などに被害を受けた方にお見舞い申し上げます。

 9月6日未明、北海道を襲った震度7の地震は死者41人、負傷者681人、さらに多くの家屋が全半壊するなどの甚大な被害をもたらしました。震源に近い勇払郡厚真町吉野地区では山林が広範囲に渡って崩れ、上空からの実況中継に私達は震撼としました。

 7段階に分類されている中で震度7はこれ以上ない一番強い規模。観測が開始されて以来、三陸沖地震、新潟中越地方地震、東日本大震災、熊本地震など5例しか発生しなかった大地震で、北海道胆振東部地震は6番目の最強地震となりました。被害額は観光業の被害を合わせて1827億円(9月25日現在)に及んだということです。

 この大地震が引き金になって北海道全土で停電になり、295万戸が電気のない生活を余儀なくされました。大停電の原因は既に広く知られていますが、北海道の全発電量のおよそ4割を発電している苫東厚真発電所が地震で損傷し、ストップしたためです。電力供給は需要量と発電量のバランスが取れていないと周波数が乱れ、ほかの発電所も壊れるということです。このため、発電をストップする火力発電所が相次ぎ、北海道全域がブラックアウトしました。

 大停電で思い出すのは映画にもなった2003年8月のニューヨーク大停電です。停電人口約5000万人、40~60億ドルの損害が発生した大停電はオハイオ州の送電線に支障が発生して電力の動揺が発生、ほかの発電所が次々と運転をストップしたせいで、広範囲に電力供給が停止しました。今回の北海道での大停電はこのニューヨーク大停電と同じ理屈で発生しました。

 うがった見方をすると、北海道大停電はニューヨーク大停電の教訓が生かされていなかったということです。なんとか、他の発電所でダウンした苫東厚真発電所の分をカバーしようとしましたが、それもかなわず、本州からの応援のための送電線も力不足でした。皆が思っているのは「この停電が厳冬期であったら…」でしょう。家庭や事業所で使用されている石油ストーブは電力を用いるタイプが多く、電気ストーブや電気カーペットももちろん役に立ちません。大停電が厳冬期であったらどれほどの凍死者が出たのでしょうか。

 停電は産業や公共機関、医療機関、農業などに影響を及ぼしましたが、冷蔵庫や冷凍庫が役に立たないためにスーパーやコンビニエンスストアなどで食品を廃棄、さらに工場が稼働しなかったために生乳や肉、卵を加工することができず、これら食品関連の被害額は100億円を超えました。

 大停電の根幹的な原因は苫東厚真発電所が北海道電力の全電力供給量のおよそ4割を発電している発電所だということです。その大発電所がストップしたため、いっぺんに発電量がダウンしました。

 今回の北海道大停電は関東などでも発生する恐れがあります。関東一円に電力を供給している東京電力は電力の90%を火力発電に頼っていますが、その74%を東京湾岸の発電所が発電しているということです。首都圏直下型地震が起きれば、たちまち、関東は闇に包まれるのではと心配されています。

 大規模火力発電所の損傷で広範囲な停電が発生するのを防ぐ方法として、識者は太陽光発電や風力発電を交えた小規模発電所を広範囲に分散していくつも設置することを提言しています。小さな発電所のいくつかが損害を受けても他の発電所でカバーすることが可能だからです。電力会社は一考してもいいのではないでしょうか。

 電力のほかに、北海道での大地震でダウンしたインフラに上水道があります。震源に近い厚真町や安平町など5市町村で電気や交通などのインフラが復旧した後も断水が続き、住民の生活に大きな支障を及ぼしました。千葉県内でも敷設してから長期間経つ古い水道管がかなりあり、市川市では亀裂が生じた古い水道管から漏水し地上にあふれ出て、通りかかったバイクが転倒して運転手がけがをするという事故も起きました。鋭意、衝撃に強い新しい水道管に交換されていますが、
地震でも断水しないように新しい水道管への交換作業を急いでいただきたいと思います。

 ニューヨーク、北海道の大規模停電を教訓に、ガスや上下水道を含めたインフラ対策を見直す必要がありそうです。

 

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