千葉県議会議員 林もとひと オフィシャルサイト

月刊コラム

2011年1月 実効的な自殺対策とは

 自殺を図る人が後を絶ちません。統計では戦後3番目のピークの最中で、1998年以降、国内では毎年3万人を大きく超える人が自ら命を断っています。自殺を考える理由はそれぞれあるでしょうが、昔から「命あっての物種」と言います。生きていれば悩みの解決策も見つかるかも知れません。私たち一人ひとりが、自殺を考えている人が発するサインに気づくとともに、相談機関や支援組織の整備を急がなくてはなりません。

 昨年も3万1560人の人が自らの命を断ちました。これで13年連続の自殺者3万人超えです。その背景として、長引く景気低迷が考えられています。景気が悪いと自殺者が増える。これは高度成長期やバブル景気のときに、自殺者が大幅に減ったことで裏付けられています。

 自殺は日本人の死因のうち、がんや心疾患などに次いで6番目にランクされ、交通事故死者の6倍を超えています。人口10万人当たりの自殺者数を自殺率といいますが、米国の約2倍で、世界でも4番目に自殺率の高い国になっています。自殺の動機ではやはり「健康問題」と「経済・生活問題」が多いそうです。

 ちなみに千葉県内では同年、1444人が自殺をしています。一番自殺者が多かったのは東京都の2938人、次いで大阪府の2031人、千葉県は神奈川県、埼玉県などに続いて7番目に多い県になっています。このような厳しい情勢の中で、県は「千葉県自殺対策推進計画」を策定し、自殺を防ごうとしています。また、昨年2月から3月にかけて、森田知事が自殺防止を呼びかける千葉県提供のラジオ放送が流されました。

 昨年2月の県議会一般質問で、私は自殺対策について県の担当者に聞きました。自殺を考えている人の相談窓口として「いのちの電話」が全国各地で活動を続けていますが、電話が4回線しかなくつながりにくいことを指摘し「千葉いのちの電話」に県の支援を要請しました。

 自ら命を断とうとまで思いつめた悩みや苦しみは察するに余り有りますが、自殺によって残された遺族も悲しみのどん底に突き落とされます。そのような自殺者遺族は国内におよそ300万人もいると言われています。

 それでは、自殺を防ぐにはどうしたらいいのでしょうか。相談機関や支援組織の整備、あるいは県の対策計画の徹底や知事のメッセージも一定の効果はあげていますが、何といっても身近な人が手を差し伸べるのが一番です。調査によると自殺を図った人の多くが生前、何かしらのシグナルを周辺の人に出していたとのことです。思いつめた人を「いのちの電話」などの相談機関に向かわせるためにも、家族など周辺の人がこのシグナルをキャッチすることが重要です。

 そしてもう一つは、本人が自殺を考える前に「第三のコミュニティ」に所属することです。商工会や消防団、町内会や趣味サークルなど、「家族」「仕事」に次ぐ「三番目の居場所」を確保するのです。典型的な仕事人間は家庭も顧みず仕事一筋であるため、家族とは疎遠になり、唯一の居場所であった会社から解雇されようものなら「自分は誰からも必要とされていない」「どこにも自分の居場所はない」と思い詰めてしまうのです。

 第三のコミュニティは定年後、充実した第二の人生を送るためにも大いに役立ちます。このように、本人に新たな生きがいを見つけてもらうと同時に、周囲からも温かく県民一人ひとりの気づきと見守りで貴重な命を救いましょう。

 

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