千葉県議会議員 林もとひと オフィシャルサイト

月刊コラム

2013年12月 特定秘密保護法

 特定秘密保護法案が成立・交付されました。激しい議論の末の衆参両院での可決でしたが、私は今の日本、そして将来の日本にとってこの法律が不可欠であることに、皆様のご理解を得たいと思っています。

 外交の舞台、諸外国との協議、情報機関同士の情報交換などの場で、日本は秘密保持の能力が無いというレッテルを貼られ、いつも苦戦を強いられてきた経緯があります。国の機密を保護する法律は諸外国の常識で、初代内閣安全保障室長を務めた佐々淳行氏は「警察庁や防衛庁に勤めていたころ、外国の情報機関から『日本に話すと2、3日後に新聞に出てしまう。だから教えられない』と言われた」と現職時代を振り返り、「秘密保護法のない国に対しては、たとえ同盟国であろうとどの国も情報をくれないし、真剣な協議もしてくれない」と述懐していました。

 うなずける話です。外交でも日本は同じような理由で情報収集に苦労してきたそうです。さらに、国の秘密を守る法律がない日本は、これまでスパイ天国とも言われてきました。

 特定秘密保護法案を審議するにあたって、安倍内閣は異例とも見られる丁寧さで、野党と協議を重ね、要求を受け入れ、法案に賛同を得ようと努力をしました。この法律が国民の知る権利とバッティングするためです。

 知る権利は、民主主義に欠かせない表現の自由を実現するために保障されている権利です。国連総会によって採択された「自由権規約」でもそう定められていますが、この規約では同時に、「他の者の権利、国の安全などのために一定の制限を科すことができる」としています。ならば、表現の自由から派生した知る権利にも一定の制限が及ぶのではないでしょうか。自民党の石破幹事長が健全な民主主義のために知る権利は必要との認識を示した上で、「国家の安全保障に重大な支障を与える情報まで、すべて国民が知る権利にあたるか、というとそうでもない」と述べ、知る権利に一定の制限が在りうるとの考えを示しました。日本を危うくしないために、国家の機密が守られるのは当然です。

 特定秘密の指定が妥当か否かを監視するシステムについても、野党との間で議論が交わされました。議論・検討の結果、特定秘密保護法に基づく特定秘密の指定や解除の監視を行う保全監視委員会や検証・監察を行う独立公文書管理監に加えて、情報保全監察室が設立されるなど、何重ものチェック機関が設立されることになりました。

 それでも、「これらのチェック機関は身内の役人による組織で、アメリカなどの完全な第三者機関と違って独立性がなく、信頼できない」との指摘があります。ともかく、特定秘密保護法は成立・公布されたばかりで、この法律を運用するにあたっての制度設計はこれからです。情報保全監察室にしても、法的にも高度な独立性を備えた機関に移行するための法改正を政府は表明しました。恣意的な秘密指定など決してできないようなシステムがつくり上げられるでしょう。

 そもそも、これまでも公務員法で公務員に守秘義務が課せられるなどして国の機密は保護されてきました。それでも漏洩が後を絶たず、諸外国からの信頼を得られないため、守秘義務に違反した人への罰則を強化し、さらに守るべき秘密を明確にした単なる法整備、法の強化が特定秘密保護法であると言う人もいます。

 個人のプライバシーが尊重される時代になっています。夫婦にあっても妻や夫に知られたくない秘密が認められています。国にも当然、外国に知られたくないプライバシーがあってしかるべきです。特定秘密保護法は国のプライバシーを守り、国益を守る法律なのです。

 

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