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月刊コラム

2019年9月 台風15号、猛威振るう

 千葉県を襲った台風15号によって被害を被られた県民の皆様にお見舞いを申し上げます。今後、この度の災害を十分に検証して災害に強い県土づくりに力を注いでまいります。

 まさかと目を疑った台風15号の進路でした。東京湾を北上し9日早朝、非常に強い勢力を保ったまま千葉市に上陸、瞬間風速毎秒40㍍を超えた強風は県内いたるところに大きな爪痕を残しました。倒壊したり屋根が吹き飛んだりした民家は館山市など県南部を中心に1万2906棟(24日現在)に及び、農業被害はハウスが強風でつぶれるなどして316.1億円(20日現在)にも達しました。水産業や林業も被害を受け、これから調査が進むにつれて被害戸数、金額はいずれも増えるものと見られています。

 国はこの度の台風15号による災害を激甚災害に指定する方針です。また、森田知事は国の制度では本来、支援の対象外である一部損壊の家屋について、修理費用などを支援する考えを示しました。これに呼応するように、国土交通省や内閣府は、一部損壊の住宅修理費を特例的に国の支援対象にすると発表しました。復興に向けて行政の手厚い支援が必要です。

 強風で送電鉄柱や電柱が倒れたり、倒木で電線が切断されたりして広い地域で停電が発生しました。電気は家庭生活のあらゆる動力源になっています。電化がひと際進んだ家庭ではIH調理器や電子レンジが使えずに料理が出来ず、電子着火が不能で風呂も沸かせず、さらにトイレの水が流せずに用が足せないなどの不便を余儀なくされました。停電で浄水場のポンプが動かず、断水の地域も広がりました。屋根が壊れ、電気も水道もこない家で何日も過ごさざるを得なかった被災者の難儀は想像以上であったに違いありません。

 綱渡りの対応を強いられたのが人命を預かっている病院です。人工呼吸器などは自家発電で対応しましたが、空調まで電気が回せず、折からの残暑もあって院内は蒸し風呂状態だったそうです。

 悲劇も相次ぎました。南房総市で93歳女性、市原市で65歳男性が熱中症とみられる症状で死亡しました。いずれの住まいも停電していたそうです。さらに電気がストップし、エアコンが使えなかった君津市の特別養護老人ホームでは82歳の入居者女性が熱中症の症状で亡くなりました。

 訂正に訂正を重ねた送配電会社の復旧想定の甘さが指摘されています。数日中には復旧するという発表でしたが、その後、次々と日時が延ばされ、そのたびに被災住民の復旧への期待を裏切りました。24日、「道路陥没などで作業が長期化する見込みの一部地域を除いてほぼ復旧」と同社が発表しましたが、ここまで15日間もかかりました。架線を切断した倒木を処理するのに予想以上に時間がかかったというのが主な理由でしたが、復旧見通しが大幅変更されたことについて、経済産業省が今後、検証を行うということです。

 台風15号は10分間の平均風速が毎秒40㍍の強風に耐えられる設計の鉄塔をなぎ倒すなどの「想定外」の猛威を振るいました。電力会社ばかりでなく、ライフライン関係者や行政、交通機関などは今回の被害発生の過程や原因などを詳細に分析し、そのような想定を超える災害発生にも対処できるように備える必要があります。

 同時に、最後にものをいうのは県民一人ひとりの災害への備えです。家屋の補強、飲料水や食料の備蓄、電池や照明器具の用意などに取り組むべきです。災害に強い県土づくりには、県民の自覚と行動が欠かせません。

 

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