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月刊コラム

2019年4月 コンビニの24時間営業

 コンビニエンスストアの24時間営業の是非を巡って論争が起こっています。コンビニ各社とオーナー側との対立だけにとどまらず、社会インフラの減少さえ危惧されています。

 東大阪市のセブンイレブン加盟店オーナーが人手不足を理由に営業時間を自主的に短縮したのが発端でした。アルバイトが確保できずにこれまでの24時間営業を19時間に短縮したオーナーに対し、セブン―イレブンジャパンは違約金やフランチャイズ契約の解除をオーナーに伝えて双方が対立。全国のフランチャイズオーナーで組織する「コンビニ加盟店ユニオン」がセブンイレブン側に団体交渉を申し入れし、さらに経済産業省も乗り出すなど、ことは大ごとになっています。

 人手不足は中小企業や店舗にとって深刻な悩みになっています。求職者1人当たりに求人がどれほどあるかを示す有効求人倍率をみると、2014年に「1」を上回り、2018年にはバブル期のピーク時の1.46倍をも上回っています。少子化も相まって、24時間営業の店舗で15~20人は必要なコンビニのアルバイト確保も年々難しくなっていて、特になり手が少ない深夜、未明はオーナー自ら店先に立ち、過労死ラインをはるかに超える長時間労働をしている店舗も少なくないそうです。

 経済産業省がコンビニ加盟店オーナーを対象に行ったアンケート調査では、従業員が不足していると回答したオーナーの割合は61%に達しました。ちなみに5年前の調査では22%。いかにコンビニの人手不足が加速度的に進行しているかが分かります。

 オーナーの窮状にもかかわらず、フランチャイズ側が24時間営業をやめたくないのは、他系列のコンビニ店との競争があるからです。深夜、未明の営業をやめれば、24時間営業の他系列コンビニは使い勝手がいいとして、夜間ばかりでなく昼間の客も流れてしまうと懸念しているからです。さらに、商品の生産、輸送が全店舗24時間営業を前提に組まれていることも、簡単に24時間営業をやめられない理由です。店によって営業時間がまちまちでは、生産、輸送が非効率になるというのです。

 しかしながら、営業時間の短縮を望むオーナーの要望やオーナーの長時間労働に同情する世間の声に押され、フランチャイズ側は店舗営業時間の短縮実験に乗り出しました。セブン-イレブン・ジャパンは当初、直営店だけの実験でしたが、近く、フランチャイズ契約店での営業時間短縮実験も手掛けます。

 世耕経産相はコンビニ8社の幹部と会談して、人出不足などの問題を解決するための行動計画の策定を要請しました。コンビニの24時間営業に経産相まで乗り出してきた背景には、コンビニがすでに消費者にとってなくてはならない社会インフラとなっている事実があるからです。人手不足、24時間営業の是非を解決しなければ、コンビニ店の営業を止めるオーナーが相次ぎ、せっかく形作られた街の社会インフラにほころびが生じかねません。

 コンビニの24時間営業に対して街の声は賛否それぞれのようです。深夜まで働く人々にとって、未明も開いているコンビニはこれほど便利なものはありません。不安を抱えて夜道を歩く女性の「灯台」の役割も果たしています。しかしながら、長時間労働を強いられるオーナーの苦労は既に限界に達しているようです。深夜労働の方には開店時間での買い置きをお願いするとして、社会インフラ保持の面からも、コンビニの人手不足に解消のめどが立たない限り、24時間営業にこだわらずに柔軟に営業時間を決めてもいいのではないでしょうか。

 

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