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月刊コラム

20121年4月 孤立死を防げ!

 独り暮らしのお年寄りが看取る人もなく死去し、しばらくの間、遺体の発見がされないという孤立死が増えています。幾多の風雪を乗り越えてきたお年寄りにとって、なんと寂しい人生の終焉でしょう。尊厳を保った最期を迎えてもらうためにも、お年寄りの孤立死を防ぐ手立てを講じなければなりません。

 特に厳密な定めはありませんが、主に独り暮らしのお年寄りが突然の疾病などにより、住まいの中でひっそりと亡くなるのが孤独死で、そのうち、死亡がほかの人に気づかれず、しばらくの間、遺体がそのままになるケースが孤立死です。全国では年間3万2千人が孤独死していると言われ、独り暮らしのお年よりが孤立しがちな社会を反映して、孤立死も増えています。

 今年3月、95歳と63歳の親子が死後1カ月経って発見された東京・立川市の都営アパートで、このアパートの自治会が住民を対象にアンケートをとったところ、回答を寄せた78世帯のうち、約半数が「明日はわが身」と受け止めており、実際に「お隣を含めて誰とも付き合いがない」と答えた回答が10世帯もあったということです。

 2010年の国勢調査によると、県内の45万世帯が高齢者の独り暮らし、あるいは高齢者だけで暮らしている世帯で、調査をするたびに増えています。一方で、地縁、血縁が希薄になる「無縁社会」が進行して、必然的に孤独死、孤立死が千葉県でも増加の気配をはらんでいます。

 孤立死をなんとか減らそうと、行政もさまざまな手段を講じています。ごみの個別収集もそのひとつです。ごみ収集の清掃員が独り暮らしのお年寄りの自宅を週1回訪れ、ごみが出されていなかったり、ごみがない旨を記したカードが出ていないと安否確認の声掛けをし、確認が取れない場合、市の担当課や家族に連絡をします。

 成田市では千葉ヤクルト販売と連携して、独り暮らしのお年寄りの安否確認をしています。訪問介護などの福祉サービスを受けていない70歳以上の独居のお年寄り宅に週1回、販売員が乳酸飲料を届けてお年寄りの無事を確認するシステムです。館山市では新聞販売員、水道の検針員、ガソリンスタンドの販売員らの協力で地域のお年寄りを見守っています。

 このような中で、居住者のおよそ4割が65歳以上という松戸市の常盤平団地での試みが注目されます。2000年に入ってからお年寄りの孤独死、孤立死が相次いだことから、自治会が主導して団地ぐるみ「孤独死ゼロ作戦」を展開中です。団地内に住民が触れ合うサロンをオープンするなどして、お年寄りを孤立させまいという試みが行われています。

 昔はどこにでもあった地域コミュニティの再構築が図られているのです。地域の人々が独り暮らしのお年寄りを見守り、声を掛ける社会が再び実現すれば、孤独死を防ぐことができないまでも、遺体がいつまでも発見されないという孤立死は防げるに違いありません。県もぜひ、お年寄りが安心して生活できる社会の実現に力を入れてほしいものです。

 

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